「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
入部したての頃、佐紀は、
野村コーチに訊ねた事があった。
「高校と大学のバスケットは、
どこが違うのですか?」
すると、コーチは、
「ハハハ、
バスケットはバスケットだろう。
バスケットに、変わりはないさ」
そう、笑って言った。
しかし、佐紀の顔を見て、思い直したのか、
「そうだな、
スピードが違う、パワーが違う、
でも、一番違うのが、必死さ、かな?
時々、
こいつら命懸けてんなって、
思う時があるからな」
それを聞いて佐紀は、以前、
大学生と行なった合宿を思い出した。
スピードもパワーも遥かにに上だったが、
それよりも、プレーに対する貪欲さに、
驚かされたものだった。
そして入部して、
いざ、上級生と練習してみると、
簡単に、当り負けしてしまう。
佐紀は、自分の未熟さを痛感したのだった
チームは現在、2部で低迷していた。
以前は、1部にいた事もあったらしいが、
今は、2部の下位にいた。
チームの目標は、1部昇格だった。
チャンスは、何回かあったようだが、
1部の壁は厚く、
全て跳ね返されてしまっていた。
だから、それは、悲願でもあった。
皆は“1部昇格”を合言葉に、
練習に励んでいた。