「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
佐紀が前を見ると、ベッドも何もない空間が
あるだけだった。
「お婆さんは?」
佐紀がそう小声でつぶやくと、
伯母さんが、
「大変だったのよ。
何か、急変したみたいで、
お医者さんや看護師さんが大勢来て
ヘッドごと、運んで行ったの。
大丈夫だと、いいけど」
佐紀は、じっと、何もなくなった空間を、
見つめていた。
「さあ、あなたは、
そんなこと気にせずにっ。
今は、自分を治す事だけ
考えなさい」
お母さんは、そう言って、
ベッドのボタンを押した。
ベッドはまた、水平になった。
「さあ、少し、休みなさい」
「うん」
佐紀は、お婆さんの事を思い出しながら、
再び、眠りに落ちて行った。