「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
「でもな、もしお前が、
好きな人が出来たら、
俺の事は、忘れろよ」
「そんな事、ないよ」
すると、お婆さんが、
「まあ、まだまだ先の話やからな。
今はまだ、わからんやろうけど、
そのうち、時が来れば、
わかると思うわ。
この兄さんの願いはなっ、
アンタが、幸せになるっちゅう
ことやで」
お婆さんと祐太は、顔を見合わせて、
うなずいた。
「まっ、元気でやれよ。
じゃっ、またな」
そう言って祐太とお婆さんは、
背を向けて、歩き出した
そう言えば祐太は、絶対“さよなら”と
言わなかったなと思い出し、佐紀も、
「じゃあ、また」
と、祐太の背中に声をかけ、
名残惜しかったが、
元来た道を、歩き出した。
その足取りは、来た時よりは少し、
マシになっているように見られた。