「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳

練習が終わった後、


  「お疲れ様でした」


そう言って佐紀は、更衣室を出て行った。

萩原先輩は、
佐紀が出て行ったのを確認した後、
キャプテンの矢島の元へ行った。


  「ヤジぃ、あんた、ちょっと、
   サキに、厳しすぎるんじゃないの?」


岡井先輩もやって来て、


  「そうだよ。サキ、
   カレシ、亡くしたばっかなんだから、
   もっと、優しくしてもいいんじゃね」


キャプテンは、苦悩を思わせる顔になり、


  「うーん、でもね、
   亡くしてすぐって、時間があると、
   落ち込むだけじゃない?

   だからせめて部活の間だけでも、
   忘れられたらなって」


  「それは、言えてる」


  「じゃあ、私たちも、厳しく……」


  「いやっ、それはいい。

   悪者は、私一人で、十分。
   あなたたちは、私のフォローに回って
   佐紀に、優しくしてあげて。

   逃げ場がないと、余計、
   追い詰める事になるかもしれないし」


  「そっかぁ、わかった。

   じゃあ、そういう事で……」


  「やっぱ、時が解決してくれるのを、
   待つしかないのかなあ」


  「う~ん、だよねぇ」


  「難しいよね」

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