「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳

その日は、雨が降っていた。

ペンダントを渡した後、
祐太は、無口になっていた。

佐紀が何を話しても、
生返事ばかりだった。

平日の公園、しかも雨となると、
訪れる人もまばらで、今、二人の周りには、
誰もいなくなっていた。

祐太は組んでいた腕を、
佐紀の腰に回してきた。

“えっ”と佐紀は思ったが、
そんなに嫌な気持ちにはならなかった。


  “ちょっと、進展したかな”


佐紀は、そう思っただけだった。


湖のほとりに、休憩所があったので、
二人はそこにあるベンチに腰を下ろした。


二人はしばらく、湖の水面を眺めていた。

たまに佐紀が話しかけても、相変わらずの
生返事が帰って来るだけだった。

ちょっと気まずい雰囲気になって来たので


  「向うに、行ってみようか」


と、佐紀が立ち上がろうとした時、
腰に回していた祐太の手に、力が入った。

ハっとして横を見ると、
祐太の顔が、近づいて来ていた。


  “キタァーーーーー”


佐紀は、祐太に体を預け、
静かに目を閉じた

唇が重なると、佐紀の体から力が抜けた。

佐紀の心の中では、
3人の天使が飛んでいた。

天使が杖を振ると、佐紀の体は、
スライムのように溶け落ちた。

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