「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
大会は、楽しみだった。
友理たちと会えるからである。
会場が違っても、時間が合えば、
友理の試合を見に行った。
友理も同じように、見に来てくれた。
大きな大会になると、
華子と会う事もあった。
そして、梨沙や雅美も、
必ず、見に来てくれていた。
試合が終わって、皆で、喫茶店に行くと、
さながら、ミニ同窓会のようだった。
いや、むしろ皆、これが楽しくて、
見に来ているのかも知れなかった。
「サキ、今日、試合出れたやん」
友理は、未だに直そうとしない関西弁で、
佐紀に話しかけた。
「うん、ちょっとだけね。
ユリは、どうなの?」
「ん~、やっぱ、
なかなか出してくれへんわぁ。
まあ、デカいだけで、試合、
出られるほど甘うないのんは、
わかってんやけど」
「おっ、自分の事、
よくわかってるじゃん」
梨沙の“つっこみ”は、相変わらずである。
「そら、痛いほど、思い知らされたわ。
ウチ、スマートやろ?
当たるとすぐ、飛ばされんねん」
「ハハハ、モノは言いようじゃん。
私、好きだよ、そんな考え方」
「“そんな”って、なんなん?」
友理は、ちょっとムッとして言った。
「“なんなん”って、そんなじゃん」
「“そんな”って、どんなん?」
「“どんな”って、こんなんじゃん」
「“こんな”って、どんなん?」
「“こんな”って、そんなじゃん」
「“そんな”って、なんなん?」