「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
笑顔で、
二人のやりとりを見ていた佐紀が、
「はい、はい、わかった、わかった。
もう、いいでしょ?」
と、割って入った。
「それって前向き、ってことだよね」
ムッとしていた友理の顔が、
一転、笑顔になり、
「なあんや、そうなんやぁ。
ウチ、言うてるうちに、
訳わからんように、なってもうて。
何の話、してたんやったっけ?」
「えっとぉ、何だったっけ」
雅美が、あきれ顔で、
「もぅ~、
当るとすぐ、飛ばされるって話」
「あっ、せやった、せやった」
佐紀は、うなずきながら、
「だよねぇ。
私も、練習の時、
何度も、跳ね飛ばされたよ」
「せやろ?
もっと、パワーつけて、
体の使い方も、覚えなあかんねん」
「華子はもう、レギュラーだもんね」
「私の処は、みんな、お嬢様ですから
バスケットなんか、しませんのよ。
部員が少ないから、
すぐに、試合に出られますわ」
「でも、強いやん」
「私が、いますのよ。
弱い訳、
無いじゃありませんこと?」
華子の自信も、相変わらずである。
佐紀が、
「やっぱり、大学になると、
当りも、ハンパないよね。
あぁ、パワーが欲しいよぅ~」
そう言うと、梨沙が、
「私、授業で習ったんだけど、
パワーって、スピードと質量を
掛けたものなんだって。
だから、パワーを上げるには、
スピードを上げるか、
体重を増やせばいいんじゃね」
と、得意げに言った。
それ聞いた友理は、
「ウチ、この体型を維持したいねん。
このスラッとしたスタイルをなっ」
そう言いながら、モデルにでもなったように
胸を張った。
「せやから、スピードを…」
そう言った途端、
「無理、無理」
と、全員が、同じタイミングで、つっこんだ
声が揃ったことに驚いて、
皆で、顔を見合わせ、そして笑った。
「なんでやの」
プッとふくれっ面になる、友理。