「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
「ただいまぁ」
玄関を入り、佐紀がそう言うと、
奥から声がした。
「お帰りぃ、食事、出来てるわよ」
友だちの話などを聞くと、
誰もいない部屋に帰るのは、
味気ないと、よく言っている。
その点“ただいま”と言って返事があるのは
嬉しい事だなと、佐紀は思った。
伯母さんは、話し好きだった。
ひどく疲れた時には、
うっとうしく思う時もあったが、
血筋なのか、佐紀も、嫌いではなかった。
しかし、伯母さんは、よくしゃべった。
伯父さんに聞いてもらえない分も、
佐紀に話しているのかと思う程、
よくしゃべった。
まあ、楽しく食事できるのはいい事なので、
佐紀も、楽しそうに、受け答えしていた。
ただ、放っておくと、
いくらでも食べさせようとするのには、
少し閉口していたが。
「お風呂、沸いてるわよ」
好きな時にお風呂に入れるのも、
幸せな事だなと、佐紀は思っていた。
佐紀は、自宅通学と、何ら変わらない生活を
送っていたのだった。
その分佐紀は、勉強に部活に、
専念することが出来たのだった。