「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
呼び出し音を数える、佐紀。
5まで数えた時、祐太が出た。
佐紀は、恐る恐る、声を出す。
「もしもし、私」
「おっ、サキ、元気か」
相変わらずの、ぶっきらぼうな声が、
返って来た。
「どう?
学生生活、上手く行ってる?」
「ああ、ぼちぼちな」
つっけんどんな言い方だったが、
そこに、嫌がっている響きは無かった。
そこで、勇気を振り絞って、
肝心の話を切り出してみた。
「一度、会えない?」
「ああ、いいよ」
それは、気が抜けるほど、
あっさりとした返事だった。
「いつがいい?」
「今は大会前だから、
抜けられそうにないなあ」
「じゃあ、今度の連休に帰るから、
その前に、もう一度、連絡するよ」
「わかった」
「じゃあ、その時」
「ああ」