「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
大学に入って、最初の授業は、
大教室だった。
よくドラマでなんか見る、
階段状に机が並んだ教室である。
教室に入ってそれを見た時、
佐紀は感激した。
“うわぁ~、やっぱ大学は、
高校とは違うなぁ”
その教室を、
200人近い学生が埋め尽くし、
教授が、マイクで講義をする。
テレビでは見た事があったが、
佐紀は、見るもの全てが、新鮮だった。
後でわかったことだが、
埋め尽くすのは最初の頃だけで、
学期も終わりになると、
パラパラとしか人がいなくて、
マイクの音が、
こだまするようになっていた。
佐紀は、これもある意味、
感動だなと思った。
その時、横に座ったのがナッキーだった。
「おはよう、ここ、いい?」
「あっ、どうぞ」
佐紀は、奥に詰めて、
ナッキーの座る場所を空けた。
「ありがとう。
私、教育2組の、中島早紀、
ヨロシク」
「あっ、私も、2組だよ」
「そうなの?
じゃあ、これからもヨロシクね」
どうやら、同じクラスらしかったが、
まだ入学して間が無かったので、
自分のクラスの人間も、
ほとんど知らなかった。
いや、それより、かなり人見知りの佐紀は、
人の顔をジロジロ見ることが出来なくて、
全く、誰も知らないくらいだった。