「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
以前、佐紀は、
ナッキーに訊いた事があった。
「ナッキーは、いいよね。
どこにでも、入って行けて」
「ん? どういう事?」
「いや、人見知りをしなくて、
いいなあって。
私、人見知りだから、
なかなか、入って行けなくて」
「私も前は、そうだったよ。
高校の頃は、人見知りが強くて、
なかなか、話せなかったんだ」
「へぇ~、一緒。
私も、知らない人と話すの、
ちょっと、苦手」
「で、そんな自分が嫌いで。
だから、大学に入ったら、心機一転、
自分を変えようと、思い切って、
声をかけてみたんだ。
そしたら、簡単に友達が出来て。
それからは、自信がついて、
誰とでも話せるようになったんだ」
「いいなあ、そんな簡単に、
友達が出来て。
羨ましいよ」
「それが………」
ナッキーは、悪戯っぽく微笑みながら、
佐紀を指差した。
「えっ、私?」
「あの時、必死の勇気で、
話しかけたんだよ。
まっ、サキがいい人間でよかったよ」
「へぇ~、そうだったんだ。
私は、何か軽い子が
話してきたなと、思ったんだけど」
「えー~、それちょっと、ヒド~い」
「あっ、ゴメンゴメン。
そうじゃないのは、すぐわかったよ」
「人見知りって、自分に自信が無いから
こんな事していいんだろうか、
相手が嫌がってるんじゃないかとか
思ってしまうじゃん。
でもいいじゃん、迷惑かけたって。
お互い様と思えば、楽になるよ。
サキも、やってみたら?」
「うーん、できるかなあ」
「できるよ。
イッパイ話しかけて、
イッパイ嫌われて来たらいいじゃん」
「ハハハ、うん、やってみるよ」