「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
入学式は、大きなホールを借り切っての
ものだった。
佐紀は、その人数の多さに、驚いた。
“これ全部、同級生?!!
私の高校全員より多いや”
壇上では、大学の学長らしき人物が、
祝福と歓迎の挨拶をしていたけれど、
誰も、聞いている者はいなかった。
「君たちは、確固たる意志を持って、
この大学へ来たのです。
ですから、これからの言動は、
全て、自己責任で、行わなければ
なりません」
そこかしこで私語をしているのが
見られたが
注意する者も、いなかった。
その、ざわついた雰囲気の中、
学長のスピーチは続いていた。
“大学って、自由なんだなぁ”
佐紀は、そう思った。
誰も聴いていないのなら、
聞く必要もないなと思い、
佐紀は、ホールにはいる時にもらった、
分厚い封筒から、書類を取り出した。
そこには、履修届や、
選択、必修講座の書類
大学生活の手引きなどが入っていた。
最初は、初めての事なので、
丁寧に読んでいたが、
余りの多さに閉口して
また書類を、封筒にしまった。
学長の挨拶のあと、
様々な手続きの説明があった。
佐紀は、入学式って、
もっと感動するものかと思っていたが、
それ程のものでもなかった。
アトラクションも、何かやっていたと思うが
ほとんど、覚えていない。
“まっ、こんなものか”
それが佐紀の、入学式の感想であった。