「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
入学式も終わり、次の日、
佐紀は、体育館に行ってみる事にした。
佐紀は、バスケ部に入ろうと、決めていた。
いやむしろ、ここのバスケ部に入りたくて、
必死で勉強して来たのだった。
大学紹介のパンフでは、バスケット部は、
第2体育館で練習しているらしい。
パンフに描かれている地図を見ながら、
佐紀は、第2体育館に向かった。
その途中のキャンパスでは、
「新入生歓迎祭り」、
俗に言う“新歓祭”が行われていた。
そこでは、屋台があったり、
自分たちをアピールする、
パフォーマンスをしたり、
何とか、新入部員を確保しようとしたりと、
本当に、お祭りのような騒々しさだった。
あたりには、焼きそばや、フレンチドッグ、
いか焼きなどの、甘い香りが、漂っていた。
女子バスケット部もあるのかなと思い、
いろいろ探してはみたが、余りの多さに、
見つける事は出来なかった。
中でも、マイナースポーツなどは、
何とか、良さを知ってもらおうと、
懸命のパフォーマンスをしていた。
文化部などは、
一体どんな活動をするのか、
よくわからないものもあった。
“ちょっと面白いな”と思って見ていると、
すぐに、勧誘を受けた。
「何? 興味あるの?
じゃあ、一緒にやろうよ」
「いえ、私は………」
そう言って手を振り、慌てて離れたりした。
あるいは、客引きよろしく、
「ねえ、こっち来て、話し聞いて」
そう言って、手を引っ張り、
強引に連れて行こうとする所もあった。
「いえ、私は、バスケ部に入るので」
佐紀がそう言うと、ようやく放してくれた。