「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
「俺、バスケしてたんだ」
佐紀は、
“そんなの、知ってるよ”と思いながらも、
「そうですか」
とだけ、答えた。
どうやら、これも常套句らしく、
話の糸口にしているらしかった。
「私も、バスケット、してました」
「へぇ、そうなんだ。
奇遇だね」
あの時、バスケ部に入ると言ったはずだが
“コイツ”本当に何も、覚えてないようだ
この男、話が合うとおもったのか、
それからは、延々と、自慢話を続けた。
しかし、
バスケットを知らない人間なら、
感心して聞くだろう話も、
佐紀にとっては、退屈な話でしかなかった。
佐紀は、ただ、相槌を打って、
聴いているだけだった。
そして、途中でうんざりして、
席を外し、化粧室へ行った。