「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳

化粧室に入ると、中では、
アイリが、化粧を直していた。

佐紀は、軽く会釈をすると、


  「アイリさん、大人気ですね」


  「“アイリ”で、いいわよ。

   タメなんだから。

   あなた、バスケット、
   してるそうね」


  「ええ」


  「私、スポーツしてる人、尊敬するわ

   私には、出来ないから。

   練習、大変なんでしょ?」


  「ええ、まあ。

   でも、一緒だよ」


佐紀は“尊敬”と言われたことに、
気をよくしたのか、
自然と、タメ口になっていた。


  「一緒って?」


  「ナッキーが、言ってたけど、
   一生懸命練習するのは、試合で、
   最高のパフォーマンスをするため

   ボイトレやレッスンを受けるのも
   舞台で、
   最高のパフォーマンスをするため

   目指すものは、一緒なんじゃない

   ねっ」


  「そう言われりゃ、そうね。

   じゃあお互い、頑張りましょう」


  「ええ」


  「じゃ、お先に」


そう言ってアイリは、
化粧室を出て行った。

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