「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
表で、ナッキーを待っていると、
ナッキーと、その後ろから、
アイリが出て来た。
アイリは、ナッキーに、
「今日は、ありがとう。
また、いつでも呼んでね。
サキ、お互い、
頑張ろうね」
そう言って、帰って行った。
その後ろ姿をナッキーは、
ポカンとした顔で、見送っていた。
「どうしたの?」
「いや、アイリ、どうしたんだろう。
今日なんか、嫌がってるの、
拝み倒して、来てもらったんだよ。
なのに“いつでも呼んでね”って、
何が、あったんだろう」
「きっと、ナッキー、
気にいられたんだよ」
「それより、アイリ、今、
“サキ”って、言ったよね。
うん、確かに言った。
いつの間に、仲良くなったの?」
「うん、ちょっとね。
私も、気に入られたのかな」
「よっしゃぁ~
これで合コン、やり易くなったぞ。
サキ、アンタとアイリ、
セットだからね」
「私は、もう、いいって」
「そんな事、言わないっ。
アイリがいると、
男、集めやすいんだから。
サキ、友達になったんでしょ」
「いや、というほどのものでも……」
「いいじゃん。
お願い、ねっ、ねっ、ねっ」
佐紀は、それに対しては答えず、
「さっ、帰ろぅ」
「う、うん」
ナッキーは、不満そうな顔をしながらも、
帰る事にした。
二人は、帰りながら、
「サキ、前の男子と、
話、合ってたじゃん。
どうなの?」
「嫌だよ。あんな軽いの」
「そうだね。私も、同感。
ありゃ、お薦めじゃないよね」