「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
次の日、佐紀は、
甲陽高校の仲間たちと共に、
祐太の通夜に行った。
布団に寝かされた祐太は、化粧のせいか、
眠っているかのようだった。
祭壇の上には、笑顔の祐太の写真が、
祀られていた。
祐太は、佐紀といる時は
仏頂面が多かったが
時折見せる笑顔は、人懐っこく、
周りを暖かくさせた。
そんな祐太の笑顔の写真を見ていると、
また佐紀の中に、悲しみが溢れて来た。
向かいに座っている祐太のお母さんは、
泣いていて、お辞儀をするのが
やっとのようだった。
佐紀は、祐太に末期の水を取り、
もう一度祐太の顔を見て、手を合わせた。
しかし、頭の中は、真っ白だった。
本当は、
冥福を祈らなければいけないのだろうけど
未だに信じたくない気持ちが大きくて、
なにも考えられないでいた。
それが終わると、皆は、外へ出て、
佐紀の周りに集まった。
本来なら、
懐かしい話に花が咲くのだけれど
今は、そんな雰囲気ではなかった。
皆が口々に佐紀を慰めていると、
達也がやってきた。
「よっ、久しぶり」
しかし、達也の声に、元気は無かった。
達也は左手を、三角巾で吊っていた。
梨沙が、それを見て、
「どうしたの? その手」
「うん」