「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
それから後も佐紀は、
何度も号泣に襲われた。
幸いな事に、誰かと一緒にいる時は、
何事も無く、過ごすことが出来た。
人込みの中にいる時も、大丈夫だった。
ただ、一人になり、
やっていたことが一段落ついて、
ふっと考えが途切れた時、
それは、襲ってきた。
それは、悲しみのツボの蓋を、
必死で押さえていたものが、
何かの拍子に力が抜けて、
漏れ出してくるモノかもしれなかった。
しかし、不定期であり、
あまりにも唐突であるが故に、
本当の理由は、佐紀にもわからなかった。
佐紀は、朝起きるのが、辛かった。
目覚めると、また
虚しい一日が始まるのかと思い、
憂鬱になった。
眠りにつく時、このまま、
目覚めなくてもいいと思うのだが、
朝になると、目覚めてしまう。
そしてまた、現実感のない日々が、
始まるのだった