公認ストーカー
本編
「ほら、入れば?」
「…ありがとうございます」
今日も深夜に帰宅すると、マンションの入口から少し離れた暗がりにコイツは居た。
コイツは決して友達ではない。
ましてや彼女でもない。
俺公認のいわゆるストーカーだ。
名前は園子(そのこ)と言うらしい。
なんでストーカーに優しくするのかって?
最初はもちろん不気味で怖かったさ。だけど何をしてくる訳じゃなく、ただいつも気づくと俺の側にいて応援してるんだよ。
そのうち、雨にも雪にもさらされてるコイツを見る内に捨てられた子犬のようで、思わず手を差し伸べてしまったんだ。
たぶん、イカれてるよな、俺。
ほとんど毎日部屋に入ってるくせに、いつまでたっても戸惑った態度でビクビクしてる。
別に手を出そうだなんてこれっぽっちも思ってねえのに。
座らせて温かいコーヒーを出せば、あったかいと言って嬉しそうに静かに笑う。
こういう姿を見る限りは、どこにでも居る普通の子でとてもストーカーをするようには見えない。
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