ランニングコース 〜君の愛のこもったLoveLetter〜1
それを彼に渡す。
「橘…ふゆか」
あ、間違えなかった。
たまに、「とうか」って言われちゃうんだよね。
躊躇なく言ってのけた彼に、何故だか心で拍手を贈る。
「…冬架には冬が似合ってるね♬」
彼はそう言って、微笑んでみせた。
「…うん。ありがとう」
少し恥ずかしい。
「ランニング頑張ってね」
あたしは知らぬ間に口にしていた。
「おう!毎日ココ来るから、窓で待ってて」
ニッと笑う。
「うん」
あたしは笑顔で頷いていた。
彼はあたしの返事を聞いたらすぐに走り出した。
「ゆ、雪にハマらないでね!」
口に両手を添えて、走りゆく後ろ姿に叫ぶ。
すると、手をヒラヒラと振って…走り去って行った。
…彼の名前は、鈴森汰架矢。
これが…あたしの大切な恋する人の名前。