ノラ猫
2章 飼い主との出逢い
「………」
ようやく、意識を取り戻した。
今自分が、何をどうして、ここにいるのかは分からない。
取り戻した意識のもと、うっすらと瞼を開けて、慣れない場所に違和感を感じた。
男の人の部屋。
すぐにそれは分かった。
殺風景に近いシンプルな部屋は、ベッドと小さめの棚が置いてあるだけ。
あとは埋め込み式のクローゼット。
ドアへと続く先には、また別の部屋か、廊下があるのだろう。
そんなことをぼーっと考え、上半身だけ起こした。
あたし、昨日こんなとこに泊まったんだっけ……?
まだはっきりと覚醒しない頭で、ぼんやりと昨日の出来事を探った。
その途端、カチャリという音を立てて、ドアノブが回されたことに気づく。
「あ、起きた?」
そう言って、人の姿を見て目を丸くさせたのは
栗色の髪をし、瞳がビー玉のように綺麗な、男の人だった。