ノラ猫
「いたっ……」
道端にある小石を踏んで、激痛がはしった。
そうだ。
今のあたしは靴がない。
靴下は履いてきたけど、部屋に靴があるはずもなく、そのまま飛び出してきた。
少しの荷物は持ってこれたけど
以前ほど準備万端なわけではない。
靴を履かずに歩くあたしを、道行く人は訝しげな目で見てくる。
これじゃあ、男を捕まえるのも無理かな。
そう思ってしまう自分に笑えた。
さっきまで、散々にいさんたちに侵されて、男を恐怖の対象でしか見れなかったのに
結局は生きる術で思いつく方法は一つ。
あたしが生きるためには、この体を使わないと無理なんだと思い知らされた。
働く……?
でもこんな身分も分からないあたしを、雇ってくれる店なんかあるのだろうか。
「……生きてちゃいけないのかも……」
そう考えると、妙に納得してしまった。