ノラ猫
智紀に会いたい。
もう一度その手で触れてほしい。
強く……抱きしめてほしい。
智紀……。
やっぱり人は、感情がないほうが楽だよ。
もし智紀に出逢ってなければ、きっとあたしはにいさんに捕まっても、なんとも思わなかった。
また悪夢がやってきたんだと……。
結局がこれがあたしの道なんだと……。
諦めることが出来てた。
だけど、智紀の温もりを知ってしまったから
感情を捨てることも、諦めて割り切ることも出来なくなった。
智紀以外の人に触れられるのは嫌。
智紀以外の人に触るのも嫌。
いつしかそう思うようになって……
「やっと……分かったよ」
ずっと自分が追い求めていた感情。
いまいち核心が掴めなかった想い。
これが……
好きっていう気持ちだったんだね。