ノラ猫
「あ、の……」
「どう?気分は」
「あ……まあ、まあ…」
咄嗟に出た言葉。
悪いと言えば悪い。
いいと言えばいい。
体のことなんて、よく分からない。
ふと自分の体を見下ろすと、そこには見慣れないTシャツに身が包まれていて……
「着替えさせたよ。
ずぶ濡れのまま、ベッドに入れるわけにもいかねぇし」
「……」
あたしの目線を察して、欲しかった答えが返ってきた。
着替えさせたということは、
一度あたしは裸になったということ。
もう一度彼へと視線を送ると、それに気づいた彼が、にやりと笑った。
「ごめんな。全部見ちゃった」
そう言って、イタズラな笑みを向けてくる。
あぁ、見られたのか。
べつにどうってことないけど。
「あ、そう」
素直に感じた感想を一言述べると、彼はつまらなそうな顔を向けた。
「反応うす。
もう少し照れたりとかしねぇんだ」
「……べつに。見られて困るものじゃないし」
いまさら自分の体を誰にさらそうが、それにたいしての抵抗なんて、何もなかった。