ノラ猫
《お入りください》
しばらくして、門が自動的に開いた。
すっげ……。
これが金持ちの家か。
門から見える玄関には、すでに使用人らしき人が立っていた。
淡白な顔をした、にこりともしない応対。
「こちらです」
そのあとに続いて、俺は案内されるがまま、一つの応接間に通された。
「初めまして、だな。横川くん」
「……初めまして」
そこには、すでに神楽坂が座っていた。
いかにも高そうな本革のソファー。
棚にはいくらするんだか分からないような壺。
「まあ、座りなさい」
立ち尽くす俺に、神楽坂は向かいのソファーに座るよう促した。
初めて見た神楽坂インターナショナルの社長。
社名は知っていたけど、世間にはそこまで興味ない。
メディアにも結構露出しているようだけど、ちゃんと顔を見たのは初めてだった。
威厳という言葉がぴったりの男。
この男に、笑顔というものはあるのだろうか……。
「ちょうど私も、君に話したいことがあったんだ」
話は、すぐに本題へとうつされた。