ノラ猫
「アンタらがこれ以上凛に関わると言うのなら、これを明日の週刊誌に載せてもらう。
もう出版社は確保済。
大スクープだな。
世界の神楽坂インターナショナルの、次期社長となる息子さんが、こんな男だなんて」
にこりと笑って、その記事を読み上げた。
【神楽坂インターナショナルの息子、少女監禁とドラッグ密売か!?】
「……」
神楽坂は言葉を失い、黙って俺の持つ記事を見つめている。
「いいの?
せっかくアンタの手で大きくしたこの会社を、少女一人にこだわるせいでつぶして。
マスコミは面白がるからな。
すぐに根掘り葉掘り探って、あんた自身が見てみぬふりしていたことも気づかれるよ」
「……凛に関わらなければ、この記事は捨てると?」
「とりあえずはな。
アンタの息子次第ってこと」
俺だって、本当は凛を見世物にするようなことはしたくない。
こんな辛い過去、世間に知られたくない。
正直、あの息子がドラッグに手を出してようとなかろうと、そんなことはどうでもよかったから。
「分かった。
凛からは手を引こう」
「あの息子も、ちゃんと仕付けとけよ」
「ああ」
神楽坂は、ようやく頷いた。