ノラ猫
 
最悪だ……。
こんな油断してしまうなんて……。


ドクドクと溢れる血。
意識がもうろうとし、視界がぐらぐらと揺れていく。



(幸せの意味、知りたいんだろ?)



彼女に、幸せの意味を教えると約束したのに……。



(どうしよう……。
 あたし今、絶対に幸せ)


これからもっともっと
たくさんの幸せを与えていかないといけないのに……。



(一緒に生きていこう)



彼女と同じ籍に入り
彼女とともに生きると誓ったのに……



「……っく……はぁっ……」



約束……
守らねぇと……。




凛……
愛してる。




俺の意識は、そのまま闇夜に消えて行った。
 
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