ノラ猫
 
「とも、きっ……ごめん、ねっ……ごめんっ……」


犯人がアイツだと気づいた時、襲ってきたのは罪悪感。

やっぱりあたしのせいで、智紀を傷つけてしまった。
あたしが幸せを願ってしまったせいで、こんなことになってしまった。


もし智紀に、万が一のことがあったら……


「ごめ、なさっ……」

「凛ちゃん……」


手術室のランプが点灯し続ける中、
無力なあたしは謝ることのみ。


その時、手術中のランプが消えた。

すぐに立ち上がって、出入り口へと駆け寄る。

先に出てきたのは、手術を担当してくれたであろう先生だった。


「あのっ……彼はっ……!?」

「無事に一命は取り留めました」

「よかっ……」
「凛ちゃんっ……」


その言葉を聞いて、安心感から急に足の力が抜けた。
倒れる寸前に、なんとか雄介さんが支えてくれ、それに追い打ちをかけるように先生は言葉を続けた。


「しかし……まだ安心できる状況じゃありません。
 幸い、急所は外れていますが、出血量もかなり多く、こん睡状態になる可能性もあります」

「え……?」

「今夜が山でしょう。
 彼についていてあげてください」


頭の中が、混乱した。
 
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