ノラ猫
 
一命は取り留めた。
だけどまだ、何が起こるか分からない状況。


このまま目を覚まさない可能性もあるということ……?


「……や、だ……嫌……」


怖いくらい心臓がバクバク言っていて
信じたくない未来を想像してしまう。


運ばれた病室。
智紀はいくつもの機械装置にかけられ、瞼は閉ざしたまま。


「智紀……」


呼びかけても、反応をしてくれない。



今夜が山だと言われ、今日はこの部屋に泊まれる許可が下りた。

雄介さんには悪いと思ったので帰ってもらい、一人智紀の手を握りながら彼の目覚めを待つ。


綺麗な寝顔。
だけどサファイア色の瞳は見えない。


智紀……
ねえ、早くあたしを見て……。


「智紀っ……」

「………り、ん…」



その時、閉ざされていた瞼がゆっくりと開いた。
 
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