ノラ猫
 
心臓は、まだドキドキと言っていて、
いまだに雄介さんの言ったことが信じられない。


ずっと人に言えない道を歩き続けてきた。


体を求められても
心まで求めてくる人なんていなかった。


だからあたしにとって智紀は特別で、
好きだと言ってくれる反面、物好きだな…なんて思ったりもしてて……。



(凛ちゃんさえよかったら、いつでも俺のところに来ていいよ。
 俺も全力で凛ちゃんを好きになれる自信あるから)



そんなふうに、雄介さんに思われているなんて知らなかった。



智紀はこのこと知ったらどうするかな……。

少しは焦ったり、不安を感じたりしてくれるのかな……。



(知らない奴)



それとも何も……
思わないのかな……。



胸ばかり、苦しくなるよ。
 
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