ノラ猫
 
「ふぅ……」


雄介がいなくなってから一眠りして、
俺は一人病院の屋上へと来ていた。


ベッドからトイレ以外の場所へ歩いて行ったのは初めて。


「いって……」


いくら痛み止めを飲んでいると言っても、ここまで歩いてくるとさすがにズキズキとわき腹が痛んだ。


だけど開けた屋上は気持ちが良くて、
窓からの風とは全然違うものだと感じる。


大きく伸びをして、体に新鮮な空気を与えた。


「……」


頭の中には一人の彼女。


(凛ちゃん、泣いてたぞ)


やっぱそうだよな……。
病室を出るとき、無理やり笑ってたけど、今にも泣きだしそうな顔してたもんな……。

俺が……
彼女をあんな顔にさせたんだ……。




「どうしたんですか?」




ふいに、誰かから声をかけられた。
 
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