ノラ猫
17章 失った光
 
「はぁっ……はぁっ……」


全速力で走るあたしを、道行く人が振り返って見てる。

だけどそんなの関係ない。
今はただ、一刻も早く、あの二人のもとから……


「はぁっ……っ…」


もう嫌。
何もかもが嫌。

ここにいるのも……
智紀を想う自分も……


全部全部嫌っ……!!



「凛ちゃん!!」

「っ……」



突然、グンと引かれる腕。

反動であたしの体は後ろへともっていかれ、その声の主へと振り返った。


「そんなに慌ててどうしたの?」
「ゆう…すけさん……」


あたしの手を引いたのは、智紀じゃない。


智紀は追いかけてもくれない。
あたしが泣いたって、何も関係ない。


「……ぅっ……」
「え、泣いて……」
「もうっ……嫌だあっ……!!」


雄介さんの顔を見た瞬間、堪えていたものが爆発した。

あたしは、道の往来で、子供のように泣き叫んだ。
 
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