ノラ猫
 
戸惑う瞳と
涙を溜めた二人の瞳が重なり合う。


あたしが助けを求めれば、本気で好きになってくれると言ってくれた雄介さん。


もう限界。
雄介さんになら、抱かれたって構わない。


「凛ちゃん……」


雄介さんがそっと身を乗り出す。

大きな手が、そっとあたしの頬を撫でた。

途端にビクッと肩が震えて、これから起こることを覚悟した。


智紀とは違う、真っ黒な黒髪。
あたしと同じ黒い瞳。


骨ばった手も、智紀より大きい……。


この手が
あたしを求めてくれるのなら……



「ごめん。

 それは出来ない」




雄介さんは、胸元にある手をそっとどかした。
 
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