ノラ猫
無意識だった。
こんな場所、来るはずなかった。
それなのに、勝手にたどり着いてしまった公園。
「……」
目を閉じて思い出すのは
智紀の存在。
そして……
あんなに笑うことが出来ていた自分だった。
「ぅっ……とも、きっ……」
あたしには、智紀を忘れることなんて出来ない。
喜怒哀楽を押し殺すことができても、きっと好きという感情だけは捨てられない。
だってこんなにも
心が智紀を求めているから……。
「凛っ……!!」
「っ……」
後ろから呼ばれた名前。
今一番聞きたい人の声。
振り返ったそこにいたのは、智紀だった。