ノラ猫
 
「凛に何があって、そんなふうに生きているか分かんない。
 だけどその考え方、俺が変えさせてやるよ」

「……意味…わかんない」

「絶望なんか、取り払ってやる」

「……」


重くのしかかっている「絶望」という言葉。

闇に包まれた生き方しか知らない。
だけど今あたしが、自由を求めてこの生活を送っているということは……


もしかしたらどこかに
光を与えてくれる世界があるかもしれないと、小さな期待をもっていたからかもしれない。


「凛」


透き通るような真っ直ぐな声。

触れる頬は、温かく心地いい。


「これからは俺が傍にいる。
 一人で生きてくとか、そんなことさせない。

 だから……」

「……」




「いい加減、

 お前の瞳に俺を映せ」




そう言われた瞬間、
体の芯を通って、熱い何かが目元まで湧き上がり……



「……っ…」



一筋の涙が
頬を伝って流れ落ちた。

 
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