ノラ猫
 
ドォーン!という大きな音。
体中に響く振動。


痛いとか、感じる余裕がないほど、大きな衝撃が襲って、そのまま意識を失った。






《ぁ……》
《気が付いたのね!先生!凛ちゃんが……!!》



次に目を覚ましたのは、薬品の匂いが漂う、真っ白な病室だった。

自分の身に何が起きたのか理解できず、
体中に感じる痛み。

頭も朦朧として、よく分からない現実。



そしてゆっくりと聞かされた。



《凛ちゃん、落ち着いて聞いてほしい。

 凛ちゃんは1週間前に交通事故にあって………君のご両親は……》



先生から聞かされた、信じられない事実。


信号無視をしたトラックの追突。
襲い掛かってきた逃れられない衝撃。


そして……



《………う、そだーーーっ!!》



お父さんとお母さんは、もう帰らぬ人となっていた。
 
< 43 / 258 >

この作品をシェア

pagetop