ノラ猫
《ねえ、どっか飲み行かない?》
身よりのない少女が、生きていく術は一つ。
《……朝まで一緒にいてくれるの?》
《お望みなら》
お金も何もないあたしが差し出せるのは、この体のみ。
《綺麗な体してるね》
《そう?でも汚れてるよ、あたし》
《それがいいんじゃん》
安売りするこの体を、男たちは喜んで受け入れてくれた。
毎日違う男に抱かれ
男女が抱き合う意味を忘れる。
愛?
欲望のためでしょ。
所詮、吐き出したい性欲を処理するための手段にしか過ぎない。
悲しくなるから、両親のことは忘れた。
考えることをやめた。
あたしは最初から独りだと……。
信頼する人も、頼りたい人もいない。
そう……。
ノラ猫だと……。