ノラ猫
「すげ……。マジでこれ、凛が作ったの?」
「あたし以外の人が作ってたら怖いでしょ」
「予想以上」
「……バカにしてた?」
「そういうわけじゃないけど」
小さなテーブルに、入りきらないほどの料理が並べられた。
メインは煮込みハンバーグ。
サラダに卵料理、スープ、フルーツもカットした。
色合いも栄養バランスも一応考えてる。
「いただきます」
「……」
お茶も注いで、両手を合わせて挨拶。
メインとなるハンバーグに手をつけた。
「……」
口に入れて、何も言わない。
え、不味かった?
ソースの割合、間違えてる?
嫌な汗をじんわりかきながら、ただじっと智紀の顔を見つめていた。
智紀はゆっくりとあたしのほうへ振り返ると……
「超うまい!」
そう言って、満面の笑みを見せてきた。