ノラ猫
8章 ノラ猫の行方
悪夢が再び訪れた。
永遠に覚めることのない夢。
そう……
夢ならよかった。
だけどこれは、永遠に逃れられることが出来ない現実。
「ほんとお前はイイ女だな」
横たわるあたしの髪を、そっと撫でるにいさん。
乱れた衣服も
体に残る残骸も
もうなんとも思わない。
そうか……。
あたしはまた、にいさんに抱かれたのか……。
あれから何度、悲劇を繰り返したんだろう。
悲劇を悲劇とすら思わない感覚。
男と女が交わるなんて
ただの動物と同じ。
そこに意味なんかない。
ましてや愛なんて必要ない。
ただそこに、男と女としての体があれば成り立つんだ。
「イイコだ、凛。
俺ならずっと、お前を必要としてやるからな」
そんな甘い言葉さえも
ただの機械音にしか感じない。