うそつきは恋のはじまり
そして、はじまる
◆6.
ずっと、彼についていた嘘。それを正直に話したことで、心はより近付いた。
30歳であることを受け入れてくれる彼方くんと、そんな彼方くんにますますぞっこんな私。
そんなふたりは今まで以上にラブラブで、歳の差という壁なんてないかのよう。
『今バイト終わったから、駅で待ってて』
彼方くんからのメールに『はーい』とハートマークをつけたメールを送り、仕事終わりの私は更衣室で私服に着替えるべくセーターを脱いだ。
隣のロッカーでは、莉緒が黒いブラにスキニーパンツというセクシーな格好で着替えをしている。
「なに、また愛しい彼方くんからのメール?」
「え?なんでわかるの?」
「顔、緩んでる」
「そ、そうかな!?」
すらりとした細い体にニットのカットソーを着ながら、言い当ててみせたその顔はふっと笑う。
「けど七恵、最近綺麗になったよねぇ」
「え?そう?」
「うん。前の男の時より全然綺麗。顔も明るいし、肌の色もいいし……幸せいっぱいって感じ」
言われてから鏡を見れば、確かに最近化粧ののりはいいかもしれない。けど特別化粧品を変えたりもしていないし……もしや、彼方くん効果!?
私を癒して、幸せにしてくれて、更に肌まで綺麗にしてくれるなんて……!
「マイナスイオンよりコラーゲンよりすごいね!彼方くん!!」
「は?」
感心しながら言うと、莉緒は意味がわからなそうに首を傾げた。