うそつきは恋のはじまり
「けど、彼も若いからすごいんじゃないの?アッチのほうが」
「あっち?」
って、どっち?
「ベッドでの話よ。体力あるだろうし、元気だろうし……そりゃあ肌も綺麗になるよねぇ」
「え!?そっち!?いや、それは、その……」
「なに?」
莉緒のどストレートな男女の話に、いい歳して頬を染め微妙な返事をしてしまう。するとその反応だけで察したように『もしや』と驚いた顔を見せた。
「まさか七恵……まだなの!?」
「あはは……そのまさか、で」
「なんで!?どうして!?もしかして、裸見たら萎えられ……」
「ってちがーう!私裸は意外とすごいんだから!まだ肌もぷりぷりだし胸だって意外とあるもん!」
本当だもん!嘘じゃないもん!
そこだけは譲れないところなだけに、つい力説してしまう。
「私と彼方くんの仲は健全なだけ!ギュッとしてチュッとするだけで充分愛は伝わるの!」
「健全、ねぇ……そうこうしてるうちに若い女に寝取られてなければいいけど」
「やめて!嫌な想像させないで!!」
莉緒の言葉は本当にいつも容赦がないなぁ……!!
聞きたくない、と耳を塞ぐ私に、その目は少し楽しそうに笑うから、やっぱり意地悪だと思う。
……いやいやいや、莉緒さん?そうは言っていますがね、私だってしたいんですよ?
本当はギュッとしてチュッとして、あーんなことやこーんなこともしたいんですよ?
けど……彼方くんは、18歳。時々忘れてしまうけれど、まだ未成年。下手すれば淫行?捕まる?どれにせよ笑えない。
それも不安だし、もうひとつ不安なのが……もし、そういう風になったとして。
『脱いだらすごいって言う割には、俺の周りの女と比べたらそうでもないよね』
……とか言われたらどうしよう……!
自信はあれど、さすがに10代と比べられたら……うん、勝てない。
「はぁぁ〜……」
ひとりあれこれ考えて、ついこぼれる深いため息。
年齢のことを素直に言い、無事普通の恋人同士となれたものの、今日もこうして悩みは尽きない。