うそつきは恋のはじまり




「お邪魔しまーす」

「うん、どうぞ」



DVDを借りて私の家へとやってきた私たちは、靴を脱ぎ冷たい空気の部屋へと入る。

茶色いブーツを脱ぎ捨てたままの私に対し、脱いだ紺色のスニーカーをきちんと整えるところがまた彼方くんらしい。



「暖房入れて、ポットつけて……コーヒーでいい?」

「うん、ありがと。適当に座って平気?」

「どうぞどうぞ」



私が上着を脱いでポットに水を入れ沸かすうちに、彼方くんは部屋へ入りこの前と同じようにテーブル前に座る。



いつもひとりの自分の部屋に彼方くんがいるなんて……不思議な気持ち。

いつか一緒に暮らしたら、こんな光景が当たり前になるのかな……なーんて、キャー!想像しただけで恥ずかしい!



「七恵?」

「はっ!!」



ってなに妄想しているんだか!私のバカ!

付き合いたての18歳相手にいきなり同棲の妄想なんて……こんなこと考えているなんてバレたら、絶対重いと思われる!



「どうかした?」

「う、ううん!別に!あっ、DVD見る!?」



誤魔化すようにDVDを取り出すと、プレーヤーにセットしようとする私に、その指先はツン、と私の服の裾を引っ張った。


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