うそつきは恋のはじまり
「……ん……」
それから一晩が明け、迎えた翌朝。眩しい日差しに目を覚ますと、窓の外ではすっかり太陽が昇りきっている。
やば、寝すぎた……もう午前終わっちゃうかな。でも今日土曜日……休みだもん、ゆっくりしよう……。
ベッドの上でそう寝返りをうつと、隣には見えた影。
「……すー……」
そこには、ぐっすりと眠る彼方くんの姿があった。
あれ、なんで彼方くん……。あ、そういえば昨日、遅くまで一緒に映画見て、結局うちに泊まって行ったんだっけ。
お家の人にちゃんと連絡したのかなぁ、あとで彼方くんに確認しておこう。それにしても、かわいい寝顔……。
いつもかわいいし、かっこいい人だと思う。落ち着いていて、18歳とは思えないくらい大人。だけど、無防備な寝顔はいつもよりあどけなくて、彼がまだ18歳の男の子なのだと教える。
睫毛長いなぁ、肌も綺麗だし、唇も……薄くて、柔らかそう。そんな彼を眺めていると、不意にわくムラッとした感情。
いやいやいや!寝込みにちょっかいだすなんて、ダメでしょ。アウトでしょ。ていうかそんなの彼方くんにバレたら、痴女だと思われかねないし!
でも、けど……ちょっとだけ。そっと顔を近付け、至近距離で彼の寝顔を見つめる。