うそつきは恋のはじまり
「悩みの数だけ、相手を想った証拠だろ」
悩みの数だけ、彼方くんを想っている。
「北見さん、たまにはいいこと言うんですね……!」
「そりゃあな……っておい!今なんて言った!たまにはってなんだ、たまにはって!」
「そもそもお前には先輩に対して敬う気持ちが……」とお説教モードになりだし北見さんを無視して、私は気合いを入れるようにまたぐびぐびっとビールを飲む。
……なら、やっぱりちゃんと言うべきだったな。『クリスマスは一緒に過ごしたい』って。
それがきっかけで喧嘩になってしまっても、へこんでも。気持ちを伝えるべきだったと思う。……よし、帰ったら電話してみようかな。
「おいこら川崎!聞いてるのか?」
「すみませーん、生おかわりー!」
「話を聞けー!!」