うそつきは恋のはじまり



「悩みの数だけ、相手を想った証拠だろ」



悩みの数だけ、彼方くんを想っている。



「北見さん、たまにはいいこと言うんですね……!」

「そりゃあな……っておい!今なんて言った!たまにはってなんだ、たまにはって!」



「そもそもお前には先輩に対して敬う気持ちが……」とお説教モードになりだし北見さんを無視して、私は気合いを入れるようにまたぐびぐびっとビールを飲む。

……なら、やっぱりちゃんと言うべきだったな。『クリスマスは一緒に過ごしたい』って。

それがきっかけで喧嘩になってしまっても、へこんでも。気持ちを伝えるべきだったと思う。……よし、帰ったら電話してみようかな。



「おいこら川崎!聞いてるのか?」

「すみませーん、生おかわりー!」

「話を聞けー!!」





< 132 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop