うそつきは恋のはじまり



「あー……まぁ、さすがに身内の前では恥ずかしいというか」

「そう言って、本当はなにかあるんじゃなくて?」

「いや、だからないって」

「ならいつもみたいに堂々としてくれればいいじゃん……『友達』って、誤魔化さなくてもいいじゃん!」



いつも、友達の前ではわりと堂々としている俺の態度。けれど先ほどの美紅ちゃんの前での態度の違いが悪かったのだろう。

疑い怒る七恵に、俺もどう説明すればいいか頭を悩ませる。



別に、美紅ちゃんに特別な気持ちがあるとかじゃなくて、七恵のことを隠したくてそう言ったんじゃなくて、えーと……。



「っ……だから恥ずかしいんだって!!」



あ、まずい。言葉、選び間違えた。

焦るあまりつい出てしまった、肝心なところの抜けた一言。しまった、そう思った時には既に遅く、目の前の七恵の顔は悲しげに歪む。



「あ、七恵……」

「……わかった、もういい」



そして、そのまま顔を背けその場から駆け出してしまう。


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