うそつきは恋のはじまり





「……はい、今日はここまで」

「ありがとうございましたー!」



翌日。今日も夕方から塾のバイトへと来ていた俺は、19時を迎えたところで授業を終了させた。

今日の授業も、昨日と同じ小学4年生の子供達のクラスだ。



「かなた先生今日テンションひくーい」

「彼女にふられたのー?」



自分では隠しているつもりでも無意識に現れているのか、授業終了早々に女子生徒たちはわーわーと騒ぐ。



「あ、わかった!ケンカだ!」

「……はいはい。先生のことはいいから、授業終わったんだから早く帰りな」

「よくないよー!年上のオンナなんてね、ヨユーのある男に迫られたらカレシがいてもコロッといっちゃうんだから」

「そんな話どこで覚えてくるの」



ほ、本当にマセてるなぁ……。

小学4年生とは思えないような発言をして、生徒たちは笑いながら教室を出た。



……ていうか俺、小学生に不機嫌とかバレるって。わかりやすすぎでしょ。

けど、あれから結局七恵からの連絡はなくて。自分からも出来ず、そのままお互い連絡を取らずにいた。



七恵、まだ怒っているかな。やっぱり一回家に行って話するべき?

今日このあと行ってみようかな……。けどもし、七恵がまたヤケ酒でもして、あの先輩とかいう男とふたりでいたらどうしよう。

この前はあれでも精一杯抑えたけど、今この状況で抑えられる自信もない……!


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