うそつきは恋のはじまり
今日も彼方くんと会う約束してたのにっ……さすがに無理だぁ。しゅん、と落ち込み、デスクの影に隠れて彼方くんへメールを打つ。
『ごめんね、急な仕事で年末年始会えないかも』……っと。落ち込んでる絵文字もつけて、泣き顔に……とメールを送信すると、すぐに彼方くんからは返事がきた。
『そうなの?大変だね、俺のことは気にしないでいいから体に気をつけて仕事頑張って』
絵文字もない、シンプルなメール。だけどそのなかには、彼方くんの優しさが詰まっているのを感じる。
彼方くん……!
「おい川崎!メールより仕事!!」
「はっはいぃ!」
キュン、と幸せな気分になったのも束の間、忙しさから響く北見さんの怒鳴り声に、私はビクッと携帯をすぐにしまいこんだ。
彼方くんに会えないのは寂しいけど、彼方くんも学校もバイトも頑張ってるんだもん。私も社会人として頑張らなきゃ!
よしっと気合を入れ直すと、すぐさま仕事に取り掛かる。