うそつきは恋のはじまり
「ですよね、嫌な感じですよね……私なんて、カスですから……クズですから……」
「な、七恵?ごめんね、そこまで言ってないよ?」
「いいんです……私なんて、私なんて……」
「おーい川崎、しっかりしろー。戻ってこーい」
あまりの落ち込み方に気を遣いはじめるふたりは、私の肩や背中を叩く。けれどあの新年会の日以来沈んだままの私の気持ちは、折れたまま。
「何かあった?話なら聞くよ?ねぇ、北見さん?」
「あぁ。話すだけでも楽になるだろうしな」
「莉緒、北見さん……」
いつもなら面倒くさがり相手になんてしないだろうふたりも、よほど何かがあったのかと察していつもより優しい。
その優しさに甘えるように、私は先日のことを話した。
彼方くんたちの新年会に行ったこと、最初は上手く仲良くなれたこと。トイレで話す女の子たちの話を聞いてしまったこと、彼方くんと若い女の子が似合っていたこと。それらから彼方くんに最低なことを言ってしまったこと。