うそつきは恋のはじまり
「ち、ちなみにいくつ?若く見えるよね」
「俺?18だよ。大学1年」
「へ……?」
じゅ、じゅうはち……18!?
大学1年!?まだ未成年!!?ついこの前まで高校生!!?
若いとは思っていた。けど大人っぽくも見えるし、落ち着いてるから、もしかしたらって期待もあった。けど、18って!!
驚きで声が出ない私に、彼……彼方くんは気付く様子もなく首を傾げる。
「七恵は?いくつ?」
「え!!?」
ど、どうしよう……散々みっともないところを見せて、今更『30歳です』なんて言えない……。
ていうか、言ったら絶対引かれる!!
どうしよう、どうしようどうしよう。
……あ。
「は……はたち」
「え?20歳?」
「う、うん……高卒で、就職して、み、見た目はよく年上って言われるんだけど、実は20歳なんだ……」
しどろもとろと言うと、彼方くんは最初は少し意外そうな顔をしたものの、すんなりと納得し「へー」と頷く。
「じゃ、歳近いんだね。親近感わくかも」
「ね、ねー。そうだよねー……」
話すうちについた駅で、私と彼方くんは電車から降りると改札を出た。
「あ、私家向こうなんだ」
「俺あっち。送ろうか?」
「う、ううん、大丈夫。じゃ!おやすみなさい!」
駅を出て右を指差す私と、左を指差す彼方くん。
さすがに家の方向は真逆だったらしく、私はそそくさと向かって右の住宅街へと走って行った。