うそつきは恋のはじまり
……そりゃあ、本当に会いたくないわけじゃない。
けど、あんな嘘ついちゃったし、バレるのもいやだ。それに、顔を見るとドキッとしちゃう自分もいるんだもん。
って、ダメだ!ダメ!向こうは18歳、一回りも下なんだから!
なかったことにしなきゃ、そう気持ちを断ち切るように記憶をかき消す。
「っ……よーし!仕事頑張るぞー!!」
「いきなりどうした!?」
みっともないところばかり見せて、嘘までついて、合わせる顔なんてない。
だから会いたくない。会わない。
そう、決めても金平糖のストラップを見るたび、思い出すのは彼方くんのこと。なんて、まるで恋しているみたい。
『そんなのない』って、北見さんたちにも言い切ったばかりなのに。
見なきゃいけない現実よりも、まだなにも知らない彼のことばかり考えている。